月経(生理)について悩んでいる方はけっこういらっしゃいます。
人によって周期は異なりますが、正常な月経周期は25-40日と言われています。
(ちなみに月経周期とは月経が始まった日から次の月経が始まる前までの日数をいいます。)
毎月毎月同じ周期で月経が必ずくるという方もいれば、周期が不順でいつくるかわからない、少量の出血で終わってしまうという方もいらっしゃいます。
 
月経が不順だという方は基礎体温表をつけることをお勧めします。
基礎体温とは毎朝目が覚めてからだを動かす前に婦人体温計で測定した体温のことで、これを毎日測定して表にしていくと、自分のホルモン周期がわかってきます。
基礎体温がニ相性といって、低温期と高温期があって月経がくれば、多少周期が長くても2-3ヶ月に1回月経がきていればひとまず大丈夫です。
(もし、妊娠を希望していてなかなか妊娠しない場合は受診してください。)
もし体温が不規則で同じような体温が続いている場合は、排卵していない可能性が高いので、婦人科を受診してください。
 
その場合大きな原因が二つ考えられます。
一つは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と言って、排卵しにくい体質を持っている場合です。
超音波検査やホルモン検査で診断し、必要に応じてホルモン剤や漢方薬などで治療します。
肥満傾向のある人は、適度なダイエットをすると排卵しやすくなります。
やせ型の人もいらっしゃいますが、その方はくれぐれもダイエットしないでください。
 
最近増えているのが、極端なダイエットによって月経がこなくなるという方です。
このような方を採血すると、下垂体から出るLH,FSHといった卵巣から出るホルモンを調節するホルモンが正常値であるのに対し、エストロゲン(卵胞ホルモン)が極端に低下しています。
エストロゲンが低下すると、若くても骨粗しょう症になりやすく、肌や血管の弾力にも影響を与え、将来の動脈硬化のリスクも高くなると言われています。
そして、当然月経もこなくなります。
 
このようにエストロゲンが低下して月経がこない方は今増えているように感じます。
その原因は、極端な糖質制限ダイエットにあることが多いです。そのような方に食生活を聞くと、大抵ご飯やパンといった炭水化物をほとんど摂らず、タンパク質と野菜を摂っていると返事が返ってきます。それで体重が減り、理想の体型を維持しているようなのですが、実は体は健康的でなくなっているのです。
特に若いうちは将来に向けて体をしっかり作っておくことは非常に大切です。
エストロゲンが低下し月経がこない状態が長く続くと、食事を普通に戻してもなかなか月経は自然に戻ってきません。年単位で時間がかかることも多いのです。
将来結婚して子どもが欲しいと思った時に、妊娠できない。月経がこない。ということになってしまうかもしれません。

そうならないためにも、若いうちからバランスよく食事を摂る。少なくとも1日1膳はご飯を食べるように心がけてください。
日々の食事が未来のあなたのからだを創ります。そのことを常に頭において、食事をしてください。
 
一婦人科医の切なる願いです。
 
       (金子透子)